夏休みに入り、学校の授業が止まると、保護者の方は子どもの勉強が気になります。
朝からスマートフォンを見ている。
昼になっても机に向かわない。
部活動から帰ると、そのまま寝てしまう。
そんな姿を見ていると、つい聞きたくなります。
今日、勉強したの?
宿題は進んでいるの?
いつになったら始めるの?
どれも、子どもの将来を心配しているからこそ出てくる言葉です。
「勉強した?」と聞くこと自体が、悪いわけではありません。
ただ、まだ勉強を始められていない子に同じ言葉を何度もかけると、かえって動けなくなることがあります。
必要なのは、声をかけないことではありません。
勉強できていないことを確認する声かけから、始めるための声かけへ変えることです。
「勉強した?」は、できていないことの確認になりやすい
すでに勉強を終えている子なら、
勉強した?
と聞かれても、
したよ
と答えられます。
しかし、まだ何もできていない子にとっては、
また、できていないと言われた
やらなければいけないのは分かっている
何から始めればよいか分からない
という気持ちになることがあります。
保護者は「勉強を始めてほしい」と思って聞いています。
ところが子どもには、単に「できていないことを確認された」と伝わってしまうのです。
すると、
あとでやる
今やろうと思っていた
うるさい
という返事になり、親子の会話が止まってしまいます。
子ども自身も「やらなければ」と分かっていることが多い
中学生になると、多くの子どもは、
- 宿題をしなければいけない
- そろそろ受験勉強を始めなければいけない
- 前の学年の復習が必要
- テストの点数を上げたい
ということを分かっています。
それでも始められないのは、必ずしも勉強の必要性を理解していないからではありません。
例えば、
- 宿題の量が多く見える
- 苦手な教科から始めたくない
- 何を優先すればよいか分からない
- 最初からきちんとやろうとして動けない
- 部活動や暑さで疲れている
- 一度遅れたことで、今さら始めにくい
ということがあります。
この状態で「勉強した?」と聞かれても、始める方法までは見つかりません。
そこで、声かけを次の3つに変えてみましょう。
1.「何をするの?」ではなく「どこで止まっている?」
勉強していない子に、
今日は何をするの?
と聞いても、
分からない
と返ってくることがあります。
自分で計画を立てられる子なら、この質問で動けます。
しかし、始められない子は、何をするかを決めるところで止まっている可能性があります。
そんなときは、
どこで止まっている?
何から始めるか決まらない?
分からない問題がある?
宿題の量が多く見えている?
と聞いてみます。
大切なのは、すぐに正しい答えを言わせようとしないことです。
子どもが、
数学が分からない
宿題が多すぎる
今日は疲れている
と答えたら、まずはその状態を確認します。
そうか。数学で止まっているんだね
全部を見ると多く感じるよね
今日はかなり疲れているんだね
と、一度受け止めます。
「でも、やらないといけないでしょう」とすぐに続けると、子どもはまた責められたと感じることがあります。
まず、始められない理由を見つける。
その後で、できる行動を一緒に考えます。
2.「全部やりなさい」ではなく「最初の10分を決めよう」
子どもが動けないとき、
夏休みの宿題を進めなさい
今日は数学をしなさい
受験勉強を始めなさい
という言葉は、少し大きすぎることがあります。
「数学をする」と言われても、
- どの教材を開くのか
- 何ページするのか
- 分からなかったらどうするのか
- いつまで続けるのか
が決まっていません。
そこで、終わらせる目標ではなく、最初の10分にすることを決めます。
例えば、
数学の計算問題を2問だけ解こう
英単語を5語だけ確認しよう
国語の教科書を1ページだけ読もう
宿題の一覧に、終わったところまで印をつけよう
分からない問題に付箋を貼るところまでにしよう
と具体的にします。
「2問だけでは少なすぎる」と感じるかもしれません。
しかし、勉強を始められていないときの最初の目標は、たくさん進めることではありません。
始めることです。
2問解いたあとに続けられそうなら、もう少し進めればよいのです。
続けられなければ、今日は2問で終えても構いません。
何もしなかった一日から、2問できた一日へ変わったことが大切です。
3.親が毎日の確認役を一人で抱えない
夏休み中、毎日、
勉強した?
宿題はどこまで進んだ?
明日は何をするの?
と確認し続けるのは、保護者にとっても大きな負担です。
子どもが動かなければ、声も強くなってしまいます。
子どもも、親から勉強の話をされるたびに身構えるようになります。
親子関係を守るためにも、確認方法を変えてみましょう。
例えば、
- 勉強の話をする時間を夜の1回だけにする
- 終わった内容を表に書く
- その日の最初の課題だけ朝に決める
- 分からない問題は別の紙に残す
- 学校や塾の先生、第三者にも相談する
という方法があります。
保護者が一日中見張らなくても、決まった時間に短く確認できる仕組みがあれば、子どもも動きやすくなります。
子どもによっては、親には反発しても、先生や年齢の近い大学生には素直に状況を話せることがあります。
これは、保護者の関わり方が悪いからではありません。
親子だからこそ、勉強以外の感情も重なりやすいのです。
声をかけるタイミングも大切です
同じ言葉でも、タイミングによって受け取り方が変わります。
部活動から帰った直後。
食事を始めた直後。
友達と連絡を取っている最中。
眠そうにしているとき。
このようなときに急に勉強の話を始めると、内容よりも「今言われたくない」という気持ちが先に出ることがあります。
落ち着いているときに、
今日の勉強のこと、今少し話しても大丈夫?
と確認してから話すだけでも、会話が始まりやすくなります。
長い話し合いをする必要はありません。
決めるのは、今日の最初の一歩だけです。
今日から使える声かけ
何と声をかければよいか迷ったときは、次のように伝えてみてください。
今すぐ全部やらなくていいよ。
何からなら10分だけ始められそう?
子どもが答えられない場合は、選択肢を出します。
数学を2問するのと、英単語を5語見るのなら、どちらが始めやすい?
それでも難しければ、
今日は宿題を机の上に出すところまでにする?
と、さらに行動を小さくします。
大切なのは、子どもを甘やかすことではありません。
「やりなさい」と言われなくても、自分で始められる状態を少しずつつくることです。
できなかった日を責めるより、次の日の一歩を決める
夏休みには、予定どおりに進まない日もあります。
部活動で疲れる日。
家族の予定がある日。
何となく気持ちが乗らない日。
そのたびに、
昨日もできなかった
また計画どおりに進まなかった
と責めても、昨日をやり直すことはできません。
確認したいのは、
なぜできなかったのか
明日は何ならできそうか
の二つです。
昨日できなかったことを責める時間より、今日の最初の10分を決める時間を増やしましょう。
保護者だけで何とかしなくて大丈夫です
子どもの勉強を心配しながら、毎日声をかけ続けることは簡単ではありません。
優しく言おうと思っていても、返事をされなければ腹が立つこともあります。
何度言っても動かなければ、不安にもなります。
保護者の方が疲れてしまう前に、誰かと一緒に状況を整理しても構いません。
子どもが始められない理由は、
- 学習内容が分からない
- 計画が大きすぎる
- 優先順位を決められない
- 毎日の確認方法が合っていない
など、一人ひとり違います。
子どもが動かないときに必要なのは、さらに強い言葉ではありません。
どこで止まっているのかを見つけ、始める行動を小さくすることです。
明日は「勉強した?」と聞く前に、
何からなら10分だけ始められそう?
と聞いてみてください。
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