―「キーワード」と「1文1要点」で変わる国語の答え方―
「漢字は覚えているのに、国語の点数がなかなか上がらない」
「教科書も読んでいるし、テスト勉強もしているのに、読解問題になると点が取れない」
そんなお悩みを持つ保護者の方は少なくありません。
国語という教科は、数学の公式や英単語のように、「これを覚えれば点数が上がる」というものが見えにくい教科です。
そのため、
「本をもっと読ませた方がいいのかな」
「語彙力が足りないのかな」
と考えることも多いと思います。
もちろん、漢字や語彙、読書経験は大切です。
ただ、国語の点数が伸びない理由は、それだけではないことがあります。
私が国語の指導で大切だと感じているのが、
「文章の中から大切なことを見つけ、それを短く整理して答える力」
です。
国語では「読んだあと」が大切です
国語の授業では、小学校高学年から中学校にかけて、説明文や物語を読んだあとに、
「この段落で一番大切なことは何ですか」
「筆者が伝えたいことは何ですか」
「主人公の気持ちが変化した理由は何ですか」
といったことを考えます。
さらにテストでは、
「30字以内で答えなさい」
「本文中の言葉を使って答えなさい」
「○○という言葉を使って説明しなさい」
といった問題も多く出てきます。
これは単に文章を読めるかどうかを確認しているだけではありません。
実は、
必要な情報を見つける
↓
いらない情報を省く
↓
順番を整える
↓
短い言葉で表現する
という力を見ています。
この力が身についている子は、国語のテストでも比較的安定して点を取りやすくなります。
一方で、この「まとめる力」がまだ身についていないと、文章の内容は何となく分かっていても、答えとして書くことができません。
まずは「キーワード」を見つける
そこで私が国語の指導でよく使うのが、
「この文章のキーワードは何?」
という問いかけです。
例えば、次のような文章があったとします。
「植物は、太陽の光を受けて光合成を行い、自分で養分を作っています。」
この文の中で、一番大切な言葉は何でしょう。
「植物」
「太陽の光」
「光合成」
「養分」
いくつかありますが、文章全体を理解するための中心となる言葉をまず見つけます。
そして、
「植物は光合成によって養分を作る。」
と短くまとめます。
長い文章でも基本は同じです。
段落ごとに、
「この段落で一番大事な言葉は何だろう?」
と考えていくと、文章の骨組みが見えやすくなります。
大切なのは「1文にキーワードは1つ」
ここで、もう一つ大切にしたいことがあります。
それが、
1文に入れる中心となるキーワードは1つ
という考え方です。
国語が苦手な子の文章を見ていると、
「〜で、〜で、〜で、〜なので……」
と、一つの文にたくさんのことを入れてしまうことがあります。
本人の頭の中には、伝えたいことがたくさんあります。
しかし、全部を一度に伝えようとすると、何が一番大切なのかが分からなくなってしまいます。
例えば、
「昨日は雨が降っていて、傘を持っていなくて、駅まで走って、服がぬれて、学校に遅れそうになりました。」
という文章。
これを、
「昨日は雨が降っていました。」
「私は傘を持っていませんでした。」
「そのため、駅まで走りました。」
「学校に遅れそうになりました。」
と分けるだけでも、ずっと分かりやすくなります。
一つの文では、一つのことを伝える。
これは国語の記述問題でも、とても大切な考え方です。
国語が得意な子は無意識にやっています
国語が得意な子は、
「この問題は何を聞いているのか」
「答えに必要なのはこの部分だな」
「これは書かなくてもいいな」
と、頭の中で自然に整理しています。
そのため、テスト前には漢字や語句の意味、教科書の内容を確認するだけでも、比較的点数につながります。
ところが、この整理の仕方がまだ身についていない子は、文章を何度読んでも、
「結局、何を書けばいいの?」
となってしまいます。
国語のテスト勉強を一生懸命しているのに点数が伸びない場合、
「覚えていない」のではなく、「まとめ方が分からない」
という可能性も考えてみる必要があります。
家庭でも簡単にできる練習
特別な教材を使わなくても、日常の中で練習できます。
教科書の文章を読んだあとに、
「この段落のキーワードは何?」
「一番大事なことを一文で言うと?」
と聞いてみてください。
最初から上手に答えられなくても大丈夫です。
例えば、子どもが長く説明し始めたら、
「一番伝えたい言葉はどれかな?」
と一緒に探してみます。
そして、
キーワードを一つ決める
↓
そのキーワードを使って一文作る
という練習をします。
慣れてきたら、
「この文章を3文でまとめてみよう」
「20字くらいで言ってみよう」
と少しずつ短くしていきます。
この力は国語だけのものではありません
「必要な情報を選び、短くまとめる力」は、国語だけに使うものではありません。
数学の文章題でも、
「何を求める問題なのか」
を読み取る必要があります。
理科や社会の記述問題でも、
「理由を簡潔に説明する力」
が必要です。
高校入試の面接や作文でも同じです。
さらに高校に進学すれば、レポートや発表の機会も増えていきます。
つまり、
キーワードを見つけて、1文1要点でまとめる力
は、すべての学習の土台になる力の一つです。
「国語が苦手」で終わらせない
国語の点数が取れないと、
「この子は国語が苦手だから」
と考えてしまいがちです。
でも、その一言で終わらせてしまうと、何を練習すればよいのか分かりません。
漢字が苦手なのか。
語彙が少ないのか。
文章を読む速度が遅いのか。
問題文の意味をつかめていないのか。
それとも、
文章の要点を見つけて、答えとしてまとめることに慣れていないのか。
原因によって、必要な練習は変わります。
もしお子さんが、
「読めば内容は分かるのに、問題になると答えられない」
「記述問題になると空欄が増える」
「何を書けばいいのか分からないと言う」
という場合は、一度、
「キーワードを見つける」
「1文に一つのことを書く」
というところから始めてみてください。
国語の答え方が少しずつ整理されてくると、文章の見え方そのものも変わってくることがあります。
国語は、ただ文章を読む教科ではありません。
読んだことを整理して、自分の言葉で相手に伝える教科でもあります。
その力を一つずつ身につけていけば、国語は「勉強しても点数が上がらない教科」ではなくなっていきます。
