「日本の学校に戻っても大丈夫だろうか?」
海外で暮らす小学生のお子さんを持つ保護者の方にとって、帰国が決まったときに気になることの一つが、日本の学校の勉強についていけるかどうかではないでしょうか。
現地校やインターナショナルスクールで元気に学校生活を送っていても、
「日本語で会話はできるけれど、国語の授業は大丈夫?」
「算数は習っているけれど、日本とは進み方が違うのでは?」
「日本の同じ学年の子と比べて、今どのくらいの位置なんだろう?」
と心配になることがあります。
海外在住の小学生が帰国前に確認したいことは何ですか?
結論からいうと、帰国前に確認しておきたいのは次の3つです。
- 国語――日本語で「読む・書く・説明する」力
- 算数――計算だけでなく、日本語の問題文を理解する力
- 日本の学年基準との「習った・習っていない」の違い
大切なのは、帰国前に日本の勉強を全部やり直すことではありません。
まず、
「できているところ」と「帰国後につまずきそうなところ」を知ること。
ここから始めれば大丈夫です。
1.国語|日本語で会話できても、国語の授業が簡単とは限りません
海外で生活していても、家庭では日本語を使っているお子さんはたくさんいます。
日常会話が自然にできていると、
「日本語は問題なさそう」
と思うかもしれません。
ただ、学校で使う日本語は、日常会話とは少し違います。
たとえば国語の問題では、
「筆者がこのように考えた理由を書きなさい」
「文章中の言葉を使って説明しなさい」
「登場人物の気持ちが分かる部分を抜き出しなさい」
といった指示が出てきます。
必要なのは、漢字を読んだり書いたりする力だけではありません。
文章を読み、内容を理解し、それを日本語で説明する力も必要になります。
帰国前に確認しておきたい国語のポイント
次のようなことを確認してみてください。
- 今の学年までに習う漢字をどの程度読めるか
- 漢字を文章の中で書けるか
- 教科書程度の文章を読んで内容を説明できるか
- 「理由」「要点」「具体例」などの言葉を理解できるか
- 自分の考えを数行の日本語で書けるか
全部できる必要はありません。
たとえば、
「漢字は少し苦手だけれど文章は読める」
という子もいれば、
「漢字は書けるけれど、長い文章になると内容を説明するのが難しい」
という子もいます。
まずは、どこで困っているのかを分けて考えることが大切です。
2.算数|計算ができるだけでなく「日本語で問題を解けるか」を確認しましょう
算数について、
「現地校でも算数を習っているから大丈夫」
と思うこともあるでしょう。
もちろん、計算力や数学的な考え方が身についていることは大きな強みです。
ただし、帰国後に意外と戸惑いやすいのが、日本語で書かれた算数の問題です。
たとえば、
「差を求めましょう」
「何倍になりますか」
「もとにする量を求めましょう」
「式と答えを書きましょう」
「理由を説明しましょう」
といった、日本の学校でよく使われる表現があります。
計算方法が分かっていても、問題文の意味が分からなければ、答えまでたどり着けません。
帰国前に確認しておきたい算数のポイント
- 日本語で書かれた文章題を読めるか
- 足し算・引き算・掛け算・割り算の使い分けができるか
- 小数や分数の問題を日本語で理解できるか
- 長さ・重さ・時間・面積などの単位が分かるか
- 図や表、グラフを使った問題を理解できるか
- 答えだけでなく、式や考え方を書くことができるか
特に高学年になるほど、
「計算する問題」から「文章を読んで考える問題」へ
少しずつ比重が移っていきます。
そのため、算数についても「計算ができるか」だけで判断しないことがポイントです。
3.日本の学年基準|「できない」ではなく「まだ習っていない」可能性があります
海外から帰国するお子さんを見るときに、とても大切な考え方があります。
それは、
「できない」と「習っていない」を分けることです。
国や学校によって、学習する内容や順番は異なります。
日本ではすでに習っている内容を、現地校ではまだ扱っていないことがあります。
反対に、日本の同学年ではまだ扱っていない内容を、すでに海外で学習している場合もあります。
そのため、日本の問題を解いて点数が低かったとしても、
「学力が低い」
とすぐに判断する必要はありません。
帰国前に一度チェックしてみましょう
日本の現在の学年の教科書や問題を使って、
- すでに習っている
- 習ったけれど忘れている
- まだ習っていない
の3つに分けてみてください。
これだけでも、帰国後に何を補えばよいかがかなり見えやすくなります。
帰国前に日本の勉強を全部やり直す必要はありますか?
いいえ。最初から全部やり直す必要はありません。
むしろ、帰国が近づいてから大量のドリルや問題集を渡してしまうと、お子さんにとって大きな負担になることがあります。
おすすめなのは、
確認 → 苦手や未習部分を発見 → 必要なところだけ補う
という順番です。
たとえば、
「算数の計算は問題ない」
「国語は漢字だけ少し補いたい」
「文章題の日本語に慣れる必要がある」
と分かれば、勉強する量をかなり絞ることができます。
帰国準備では、
勉強時間を増やすことより、何を勉強すればよいかを明確にすること
のほうが大切です。
帰国前にできる簡単な学習チェック
特別な教材を大量に用意する必要はありません。
まずは週に数回、10~20分程度でも構いません。
国語
日本の学年相当の文章を1つ読んで、
「どんな話だった?」
「どうしてこうなったと思う?」
と聞いてみます。
口頭で答えられたら、次は1~3文程度で書いてみます。
ここで見るのは、正解・不正解だけではありません。
文章の意味を理解できているか、自分の言葉で説明できるかを確認してみてください。
算数
日本語で書かれた文章題を数問解いてみます。
間違えた場合は、
「計算を間違えたのか」
「問題文の意味が分からなかったのか」
「まだ習っていないのか」
を確認します。
同じ「不正解」でも、理由によって必要な学習はまったく違います。
ここを区別することが重要です。
帰国前チェックリスト
帰国が決まったら、次の項目を一度確認してみてください。
- 日本語の文章を読んで内容を説明できる
- 今の学年までの漢字をある程度読める
- 自分の考えを短い日本語の文章で書ける
- 日本語の算数問題を読んで理解できる
- 計算だけでなく文章題にも取り組める
- 日本の学年で何を学習しているか確認した
- 「未習」と「苦手」を分けて確認した
- 帰国後に補う必要がある単元が分かっている
全部できていなくても問題ありません。
むしろ帰国前に、
「ここを少し補っておこう」
と分かることに意味があります。
よくある質問
Q.現地校だけに通っています。日本の学校に戻っても大丈夫でしょうか?
現地校に通っていることだけで判断することはできません。
確認したいのは、学校の種類よりも、現在のお子さんが日本語でどの程度学習できるかです。
特に国語の文章読解、漢字、算数の文章題などを一度確認しておくと、帰国後の準備がしやすくなります。
Q.日本語で普通に会話できれば大丈夫ですか?
日常会話ができることは大きな強みですが、それだけで学校の学習に困らないとは限りません。
「読む」「書く」「説明する」といった、授業で必要になる日本語も確認しておきましょう。
Q.帰国前は漢字をたくさん練習したほうがいいですか?
漢字だけを大量に練習するより、
漢字・文章読解・作文を分けて現在の力を確認する
ことをおすすめします。
漢字が少し苦手でも文章理解に問題がない場合と、漢字は書けても文章理解が難しい場合では、必要な学習が違うからです。
Q.帰国前に何年生の勉強からやり直せばよいですか?
最初から学年をさかのぼって全部やり直す必要はありません。
まず現在の学年の内容を確認し、できなかった問題について、
「忘れている」
「理解できていない」
「まだ習っていない」
を分けて考えると、必要な復習範囲を絞ることができます。
海外で身につけた力も、大切にしてください
帰国準備を始めると、どうしても
「日本の勉強に遅れていないだろうか」
という部分に目が向きます。
でも、海外で生活し、異なる言葉や文化、学校環境の中で学んできた経験そのものがお子さんの大切な力です。
帰国準備は、その力を否定して、日本式にすべて合わせ直すことではありません。
海外で身につけた力を大切にしながら、日本の学校で困りそうな部分だけをつないでいく。
そのように考えてみてください。
「日本の学年で今どのくらい?」を確認するところから始めましょう
帰国前の保護者の方からよく出てくる不安は、
「うちの子は、日本の学年基準で今どのくらいなんだろう?」
というものです。
この疑問が解決すると、
「何を勉強させればいいか分からない」
という状態から、
「ここだけ準備しておこう」
という具体的な行動に変えることができます。
JUN SENSEIでは、海外子女・帰国生についても、
分からないことを責めない。
むやみに勉強時間を増やさない。
まず現在地を確認して、必要なところから学ぶ。
という考え方を大切にしています。
現在小学生のお子さんにとっても、帰国後の学校生活を安心してスタートし、その先の中学校での学習へつなげていくために、早めに**「日本の学習との違い」**を知っておくことは大切です。
海外子女・帰国生向けの学習についてはこちらをご覧ください。

JUN SENSEI|海外子女・帰国準備コラム
元中学校教員の視点から、海外で学ぶお子さんと保護者の方へ、帰国前に知っておきたい学習準備や、帰国後の学校生活・中学校での学習につながる情報をお届けします。