「基本が大切です。」
勉強でも、スポーツでも、よく言われる言葉です。
私も、基本はとても大切だと思っています。
ただ、私は少し違う意味で「基本」を考えています。
最初から決められた基本を、みんなに同じように繰り返させればいいとは思っていません。
大切なのは、実際の姿を見て、
「今、この子に必要な基本は何だろう」
と考えることです。
バスケットボール指導で大切にしていたこと
私は長くバスケットボールを指導してきました。
練習では、シュート、パス、ドリブル、フットワークなどの基本を毎日大切にしていました。
1対1から始まり、2対2、3対3、4対4、5対5へと、実際のゲームにつながるように細かく練習していきます。
でも、
「基本が大切だから、今日はこの練習をしよう」
と最初から決めていたわけではありません。
試合や練習試合、ゲーム形式の練習をよく見ます。
そして、
「なぜ、このプレーがうまくいかなかったのだろう」
と考えます。
シュートが入らなかったとしても、原因がシュートフォームとは限りません。
ボールのもらい方かもしれません。
足の運び方かもしれません。
相手との距離かもしれません。
味方を見るタイミングかもしれません。
判断が少し遅かったのかもしれません。
表面に見えている失敗だけを直すのではなく、
実際のプレーから遡って、どの基本が必要なのかを考える。
そして、そのための練習を作っていました。
基本練習そのものが目的ではない
「シュートが入らないから、シュートを100本打とう」
もちろん、それが必要な場合もあります。
でも、本当の原因が別のところにあるなら、100本打っても試合では同じことが起こります。
だから、
実践を見る
↓
必要な基本を見つける
↓
基本を練習する
↓
もう一度実践する
この往復が大切です。
そして、試合になれば、私は選手たちに自由にプレーさせていました。
一つ一つのプレーをベンチから指示するのではありません。
基本的な考え方が身についていれば、その場を見て、自分で判断できるからです。
自由にプレーさせても、チームが大きく崩れない。
それは、
自由にさせていたからではなく、自由に判断するための基本を身につけていたから
だと思っています。
基本は、自由を制限するものではない
後年、池田晶子さんの著書を何度も読む中で、このことをあらためて考えるようになりました。
基本とは、人を型にはめるためのものではない。
むしろ、
自分で考え、自分で判断するために必要なもの。
なのではないか。
何も知らない状態で「自由にしていいよ」と言われても、本当の意味で自由に判断することは難しいものです。
基本的な考え方を持っているからこそ、状況に合わせて自分で考えられる。
バスケットボールを指導していた頃、私はそれを実践の中で感じていたのだと思います。
勉強も同じです
勉強でも、「基本が大切」とよく言われます。
もちろん、計算、漢字、英単語、基本文、公式などを繰り返し練習することは必要です。
でも、
「数学が苦手だから、基礎問題をたくさんやりましょう」
だけでは十分ではありません。
実際に問題を解いているところを見ると、
計算で止まっている子もいます。
問題文の意味をつかめていない子もいます。
公式は覚えているのに、どの場面で使えばいいのか分からない子もいます。
途中式を書かずにミスを繰り返している子もいます。
時間配分がうまくいかず、分かる問題まで解けていない子もいます。
同じ「数学が苦手」でも、必要な基本は違います。
だから私は、
まず、実際を見る。
そこから、
どの基本に戻る必要があるのかを考える。
ことを大切にしています。
毎日5分の学習確認にも、この考え方があります
JUN SENSEIで毎日5分の学習確認をしている理由も、ここにあります。
5分間サポートは、問題の解き方を教える時間ではありません。
毎日の学習の様子を見ながら、
どこで止まっているのか。
何が後回しになっているのか。
昨日できていたことは何か。
少しずつできるようになってきたことは何か。
どんな進め方なら続けられそうか。
そうしたことを一緒に確認する時間です。
毎日少しずつ見ているからこそ、
「ここは覚え方を変えた方がいい」
「この単元は一度、基本に戻った方がいい」
「勉強内容より、まず時間の使い方を整えよう」
ということが見えてきます。
そして、教科の詳しい解説や演習が必要だと分かったときは、5分間サポートの中で教えるのではなく、必要に応じて別の補習で取り組みます。
ここでも、
実際の学習を見る
↓
必要な基本を見つける
↓
基本に戻って練習する
↓
また普段の学習に返す
という流れがあります。
これは、私がバスケットボール指導で大切にしてきたことと同じです。
5分間サポートは「勉強したか」を確認するだけではない
毎日5分というと、
「勉強したかどうかを確認する時間」
と思われるかもしれません。
もちろん、学習の進み具合も確認します。
でも、それだけではありません。
毎日会うからこそ、
少し元気がないこと。
昨日とは話し方が違うこと。
予定していたことが進まなかったこと。
逆に、自分から少し動けたこと。
そうした小さな変化にも気づくことができます。
一度のテスト結果だけでは分からないことがあります。
毎日の実践を見ているからこそ、
「今、この子には何が必要なのか」
を考えることができます。
人生も、きっと同じです
これは、勉強やスポーツだけではないと思っています。
何かうまくいかなかったとき、
「もっと頑張りなさい」
だけでは変わらないことがあります。
まず、
「なぜうまくいかなかったのだろう」
と考える。
そして必要なら、少し戻る。
考え方を見直す。
人との関わり方を考える。
自分が何を大切にしたいのかを考える。
自分は本当はどうしたいのかを考える。
そこから、また自分でやってみる。
人生には、バスケットボールや数学のような一つの正解はありません。
だからこそ最後は、
自分で見て、自分で考えて、自分で選ぶ。
ことが必要になるのだと思います。
基本を教える、その先へ
基本は大切です。
でも、基本を覚えることだけが目的ではありません。
実践を見る。
必要な基本を見つける。
基本に戻る。
また実践する。
そして最後は、
本人自身が考え、判断し、自分の力で動けるようになる。
そこまでつながって、初めて基本が生きるのだと思います。
私はバスケットボールでも、勉強でも、その考え方を大切にしてきました。
教える前に、まず見る。
実践から必要な基本を見つける。
そして最後は、本人に返す。
それが、教育の大切な役割の一つだと思っています。
「何を勉強させればいいのか分からない」ときこそ、まず一緒に見てみませんか
勉強が進まない理由は、一人ひとり違います。
「やる気がない」「基礎ができていない」と決めつける前に、
今どこで止まっているのか、何が必要なのかを一緒に整理します。
JUN SENSEIでは、保護者の方・お子さんからの無料学習相談を受け付けています。
オンラインで全国からご相談いただけます。
