「日本の学校に戻ることになったけれど、うちの子は日本の中学生と比べてどのくらいできているんだろう?」
海外で暮らす中学生のお子さんを持つ保護者の方からすると、とても気になることだと思います。
現地校やインターナショナルスクールでは問題なく勉強できていても、日本へ帰国するとなると、
「日本の同じ学年では、今どこまで習っている?」
「全部できていないと、帰国後についていけない?」
「何点くらい取れれば大丈夫?」
「帰国前に前の学年から全部復習したほうがいい?」
と不安になることがあります。
結論からいうと、日本の学年内容を100%できる必要はありません。
帰国前に大切なのは、
「今できていること」
「少し復習すればできそうなこと」
「まだ習っていないこと」
を分けて、現在地を知ることです。
今回は、海外在住の中学生が日本へ帰国する前に確認しておきたい「日本の学年基準」の考え方を、元中学校教員の視点から分かりやすくお伝えします。
日本の学年基準で何点取れれば大丈夫ですか?
まず知っておいてほしいのは、
「○点以上なら帰国しても大丈夫」
という一つの基準はないということです。
同じ60点でも、
- 習った内容なのに理解できていない
- 計算ミスが多かった
- 日本語の問題文が分からなかった
- 海外の学校ではまだ習っていなかった
では、意味がまったく違います。
海外在住のお子さんの場合は、特に点数そのものより、間違えた理由を見ることが大切です。
たとえば数学の診断で60点だったとしても、40点分がすべて未習単元なら、基本的な学力に大きな問題があるとは限りません。
逆に80点取れていても、前の学年で習う重要な計算や文章読解に大きなつまずきがあれば、帰国後に困る可能性があります。
ですから、帰国前の学力確認では、
点数 → 間違えた問題 → 間違えた理由
の順番で見ていきましょう。
帰国前に確認したい5つの学力チェック
1.前の学年までの「基礎」が大きく抜けていないか
まず確認したいのは、現在の学年よりも前に学習する基礎です。
中学校の学習は、前に習った内容の上に新しい内容が積み重なっていきます。
たとえば数学なら、
中学1年生で学んだ計算や方程式が、中学2年生・中学3年生の学習にもつながります。
英語でも、基本的な語順や動詞の使い方が分からないまま進むと、新しい文法を理解することが難しくなります。
国語でも、文章を読んで「何について書かれているか」をつかむ力は、学年が上がっても必要です。
そのため、
「今の学年の内容を全部できるか」よりも、「これまでの基礎に大きな穴がないか」
を先に確認することが重要です。
2.「まだ習っていない」と「苦手」を分けられているか
海外子女の学習を見るうえで、とても重要なのがこの違いです。
日本の問題を解いてできなかったとき、
「やっぱり日本の勉強に遅れている」
と考えてしまうことがあります。
でも、海外の学校と日本の学校では、学習する順番が同じとは限りません。
まだ授業で扱っていないのであれば、できなくて当然です。
問題を間違えたときは、
- 習ったことがある
- 習ったけれど忘れている
- 習ったが理解が十分ではない
- まだ習っていない
の4つに分けてみましょう。
特に、
「まだ習っていない」問題を「苦手」と判断しないこと
が大切です。
未習であれば、帰国前または帰国後に学習すればよいだけだからです。
3.日本語で問題を読んで理解できるか
海外在住の中学生の場合、教科内容そのものだけでなく、
「日本語で問題を解けるか」
も確認しておきたいポイントです。
特に数学では、
「次の式を因数分解しなさい」
「変化の割合を求めなさい」
「合同であることを証明しなさい」
など、日本の学校で使われる言葉があります。
英語でも、
「次の文を疑問文に書き換えなさい」
「日本文に合うように空欄を埋めなさい」
といった、日本語による問題指示があります。
教科内容を理解していても、日本語の指示が分からなければ答えることができません。
そのため、日本の問題に取り組むときは、
「答えが分からない」のか
「問題文の日本語が分からない」のか
も分けて確認してみましょう。
4.時間を決めても問題を解けるか
自宅でゆっくり取り組めば解ける問題でも、学校の定期テストでは時間が決まっています。
帰国後の中学校では、
- 定期テスト
- 小テスト
- 実力テスト
- 高校入試
など、限られた時間の中で問題を解く場面が増えてきます。
特に、日本語を読んで理解するのに時間がかかるお子さんの場合、
「分かるけれど時間が足りない」
ということがあります。
最初からスピードを求める必要はありません。
まず普通に問題を解き、その後、
「この問題なら何分くらいで解けるかな?」
と少しずつ時間も意識してみるとよいでしょう。
5.間違えた問題をもう一度解けるか
学力を確認するときに、最初の点数以上に大切なのが、
一度間違えた問題を、学習したあとに解けるようになるか
です。
たとえば最初の診断で50点だったとしても、
解説を確認する
↓
必要なところを学習する
↓
もう一度解く
↓
80点までできるようになる
のであれば、それは大きな力です。
反対に、何度説明しても同じところでつまずく場合は、その単元より前の基礎に戻ったほうがよいこともあります。
帰国前の診断は、
「今何点なのか」を決めるためだけのものではありません。
「どこを学習すれば伸びるのか」を見つけるためのもの
と考えてください。
中学1年生は何を確認すればいい?
中学1年生の場合は、まず小学校までの基礎と、中学校に入ってから学ぶ内容を分けて確認します。
特に、
- 日本語で文章を読めるか
- 基本的な計算ができるか
- 分数・小数などに大きな苦手がないか
- 中学校の数学用語を理解できるか
- 英語の基本的な語順を理解できるか
などを見ていきます。
中学1年生は、これから日本の中学校の学習に慣れていく時間があります。
そのため、帰国前からすべて完璧にするよりも、
「中学校の学習につながる基礎があるか」
を確認することをおすすめします。
中学2年生は何を確認すればいい?
中学2年生になると、中学1年生で学習した内容を使う場面が増えてきます。
そのため、
中学1年生の内容に大きな抜けがないか
を確認することが重要です。
特に数学や英語は、前の学年の内容が次の学習につながります。
中学2年生で帰国する場合は、
「現在の中2内容」
だけを見るのではなく、
「中1の基礎 → 中2の現在地」
という順番で確認すると、必要な復習が見えやすくなります。
中学3年生は高校受験から逆算して考えましょう
中学3年生の場合は、少し考え方が変わります。
帰国後の学校についていくことに加えて、
高校受験
も考える必要があるからです。
志望校によって、
- 一般入試
- 帰国生入試
- 推薦入試
など、必要な準備が異なる場合があります。
また、帰国生入試では、学校によって英語・数学・国語だけでなく、小論文や作文、面接などが課されることもあります。
そのため中学3年生では、
「日本の中3内容を全部終える」
という考え方だけではなく、
「志望校の入試に必要な力は何か」
から逆算して学習することが大切です。
帰国前に何年分も問題集をやり直す必要はありません
帰国が決まると、
「中学1年生から全部やり直したほうがいいのでは?」
と思うかもしれません。
でも、最初からすべての問題集を解き直す必要はありません。
おすすめなのは、
① 現在の学年の問題を解いてみる
↓
② 間違えた問題を確認する
↓
③ 必要なところだけ前の学年へ戻る
という方法です。
たとえば中学2年生の方程式でつまずいていたとしても、原因が中学1年生の文字式にあるなら、そこだけ戻ればよいのです。
必要なところだけ確認することで、帰国前のお子さんの負担を減らすことができます。
帰国前の学力チェックで保護者が見てほしいこと
診断や問題集の結果を見ると、どうしても点数に目が向きます。
でも、ぜひ次のような部分も見てください。
- どの問題はすぐに解けたか
- どこで時間がかかったか
- 未習の問題はどれか
- 日本語の意味が分からなかった問題はあるか
- 一度説明すると理解できたか
- もう一度解くとできるようになったか
これらを見ることで、
「今できないこと」だけではなく、「これから伸びるところ」
も見えてきます。
よくある質問
Q.日本の学年相当の問題で何割くらいできれば安心ですか?
一律に「○割なら大丈夫」と判断することはおすすめしません。
海外在住のお子さんの場合、未習単元が含まれている可能性があるからです。
得点だけでなく、間違えた問題が「未習」「忘れている」「理解不足」のどれなのかを確認してください。
Q.診断テストで点数が低かったら、日本の学校についていけませんか?
点数が低いだけで判断する必要はありません。
未習の単元や、日本語の問題形式に慣れていないことが原因の場合もあります。
まず、なぜ間違えたのかを確認しましょう。
Q.帰国前に塾へ通わせたほうがいいでしょうか?
すべてのお子さんに塾が必要とは限りません。
まず現在の学力を確認し、一人で補える範囲なのか、サポートが必要な範囲なのかを考えることをおすすめします。
Q.海外で学校の成績が良ければ、日本でも大丈夫ですか?
海外でしっかり学習できていることは大きな強みです。
ただ、日本と海外では学習範囲や問題形式が異なる場合があるため、一度日本の学年相当の問題も確認しておくと安心です。
「日本の学年基準で今どこ?」を知ることから始めましょう
帰国準備で必要なのは、
日本の学習を全部やり直すことではありません。
まず現在地を知ることです。
そして、
できているところは、そのまま伸ばす。
まだ習っていないところは、必要な時期に学ぶ。
少し苦手なところだけ、必要な分だけ補う。
それで十分です。
JUN SENSEIでは、中学生向けに無料学力診断を用意しています。
日本の学年基準で現在の力を確認し、
「何ができていて、次に何を学習すればよいのか」
を整理するために活用してください。
海外で身につけた力を、日本の点数だけで判断する必要はありません。
その子がこれまで学んできたことを大切にしながら、日本での次の学びにつなげていきましょう。
海外子女・帰国生の学習について相談したい方へ
帰国する時期、現在の学校、学年、志望校によって必要な準備は異なります。
「何から始めればいいか分からない」
「診断結果を見ても、どこを復習すればいいか分からない」
「中学3年生なので、高校受験も含めて考えたい」
という場合は、無料学習相談をご利用ください。
海外子女・帰国生向けの学習サポートについてはこちらからご覧いただけます。

JUN SENSEI|海外子女・帰国準備コラム
元中学校教員の視点から、海外で学ぶ中学生と保護者の方へ、帰国前の学習準備、日本の学校との学習の違い、高校受験や帰国生入試について分かりやすくお伝えします。

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