理想と現実

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しょせん現実はそんなもんだ、理想は理想にすぎないよ、そういう人も、最初は理想をもっていたに違いないんだ。
その理想を持ち続けるのを途中でやめてしまったか、理想を実現する努力を怠けているか、その言い訳をしているだけなんだ。
でも、努力を放棄された理想は、単なる空想か、漠然とした憧れにすぎない。
単なる空想なら現実になるわけがない。
理想を実現しようと努力することこそが現実なんだ。

目に見える君の人生や、君の人生を含むこの社会を、一番深いところで動かしてるのは「理想」、目に見えない観念としての理想なんだ。
ちょっと難しい言い方をすれば「理念」と言ってもいい。
よりよくなりたい、よりよくしたいという、現実の原動力としての、その思いだ。
このことを自覚している大人はとても少なくて、やがて理想を語る君に対して、「もっと現実を直視しなさい」と諭すようになるだろう。
でも、見えるものとして現れた現実だけを見て、見えない現実を見ていないのは彼等の方なんだから、適当に聞き流すがいいよ。

『14歳からの哲学』池田晶子

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