気品

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気品というものは、人間の値打ちの全てを言い表すと言ってもよいでしょう。
この気品が、ある意味では、全人格の結晶だと言うこともできましょう。
実際気品というものは、その人から発する、いわば内面から発する香りとでも言うべきもので、ここぞと、形の上にいって捉えることのできないものです。
その人が、かようかようのことをしたとか、言ったとかいうことよりも、そうした見えるものを越えて香る気品の床しさにこそ、その根本はあると言えましょう。
外側に現れた形の上からは、ほとんど同一と思われる行いにおいても、それをする人の心の曇りのいかんによって、気品という上からは、そこに大きなひらきを生じてくるのです。

気品が身につくようになるには、やはり修養に他ありません。
ではいかなる修養が、人間の気品を高める上に役立つかと申しますと、もちろんそれが修養と言われるものである以上、いかなる修養も、気品を高める上に役立たないものはないでしょう。しかしそのうちでもとくに基本的なものは何かというと、内心のけがれを除くことかと思われます。
すなわち「慎独」、つまり人間がただ一人いる場合にも、深く己を慎むということです。

『修身教授録』森信三

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