過去を想起せよ

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人は誰でも、自分が経験してきた事柄を思い返してみるべきである。
すなわち、「ある年に自分がしたことはどちらが正当であったか、正当でなかったか。
どちらが出来映えが悪かったか、良かったか。
またある年に自分が計画したことは、いずれが穏やかであったか、あるいは出すぎていたか」と。
こうして将来の戒めとするがよろしい。

そうでなく、ただいたずらに、こせこせとあくせくして、先々のことを考え計ってみても、何の益もありはしない。

また。人は誰でも幼少のときのことを思い起こしてみるべきである。
父母が自分を養い育てて乳を飲ませてくれた恩、反復自分をいたわり、懐に入れたり、抱いてくれた骨折り。なでさすったり、哀れんでくれた厚き情、訓戒したり、責めなじったりしてくれた親切心、などなど。
およそ父母が艱難辛苦して、自分を成長養育して下さったことなどすべてを追憶するならば、今自分がわが身を愛し、軽々しくはしないということも、十分行きとどくようになるであろう。

『言志四録』佐藤一斎

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