本当に生きるということ(3)

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「生きて思う」ということは、彼にも君にも誰にとっても共通している、ものすごく当たり前なことじゃないか。この世の中には、当たり前のことよりも不思議なことは存在しないんだ。
君は、自分が生まれて、いろいろ思って、あれこれ生きて、そしてやがて死ぬという当たり前のことを、とんでもなく不思議なことだとは思わないか。
そして、これがいったいどういうことなのか、本当のことを、知りたいと思わないか。

「誰にとっても正しいこと」というのは、「みんなが正しいと思っていること」ではないということも、もうわかるだろう。
「みんな」、世の中の大多数の人は、当たり前のことを当たり前だと思ってわ、からないことをわからないと思わないで、「考える」ということをしていないから、正しくないことを正しいと思っていることがある。
でも、いくら大勢で思ったって、正しくないことが正しいことになるわけではないね。
だから、たとえそう考えるのが、世界中で君ひとりだけだとしても、君は、誰にとっても正しいことを、自分ひとりで考えてゆけばいいんだ。
なぜって、それが、君が本当に生きるということだからだ。

『14歳からの哲学』池田晶子

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