池田晶子

言葉の力

人生のための教育

「知る」とは、実際に役立ってのみ、知ることであり得る。泳ぎ方を本で読んで知ってはいるが、実際には泳げないなら、泳ぎを知っているとは言えない。同じく、各種の知識を知ってはいるが、それを人生に役立てることができないなら、それを知っているとは言え...
言葉の力

「プロ」といえる人

「食う」ということと、「覚悟」ということは、じつは完全に無関係なのである。いや逆に食うことを無関係とするところにこそ、本来の覚悟はあるのである。食える食えない関係ない、生きるか死ぬか知ったことか。自分はどうしてもこれがしたい、これしかできな...
言葉の力

救い

本当のことというのは、本当だと認められるから本当なのであって、本当だと認められないことは本当ではない、ウソである。それで、本当ではないウソのことというのは、認められるのではなく信じられることになる。人がそれを信じるのは、それがウソだからであ...
言葉の力

いつ生きるのか

在りもしない死を恐れて、在るでも無いでもない死後を憂えて、すなわち時間というものは漠然と前方へ流れるものだという錯覚を信じこんで、生き生きと生きる現在を常に取り逃がして生きるならば、人はいったいいつ生きることができるだろう。死ぬまでのいつか...
言葉の力

美しい逆説

ある天才の仕事に感動できるとしたなら、君は、天才だ。天才が何をしようとしていたのかを理解できるなら、君は、天才だ。天才を理解できるのは天才だけだという動かせない対応とは、両者が共に自分を超えた大きなもの、つまり「天」を見ているということで理...
言葉の力

個性を求めるな

「自ら」ということと「自ずから」ということは違うことだ。「自ら」は、自分の意図でどうこうしようとすることで、「自ずから」は、自分の意図によらずに自然にそういうふうになることだ。君は、自ずから、そうなる人になればいい。自らなろうとなんかしなく...
言葉の力

やりたいことがわからない?

若者たちは、自分なんてものにこだわりすぎるのである。「自分の」好きとか、「自分の」人生とか、そんなものは何ものでもないと、一度腹を括ってみるといいのである。そうすれば、見えてくるものがある。そうとしかできない自分も見えてくる。「個性」という...
言葉の力

恋愛と性

心は心、体は体という割り切り方をする人もいるようだ。恋愛は恋愛で、セックスはセックス、好きでない人ともセックスはできるから、セックスだけ別にして売ってしまおうという、それが売春という行為だ。体は売っても心は売らないという変な理屈だけど、見え...
言葉の力

愛情 その2

どうして自分の好きな人だけを愛しちゃいけないんですか、どうして嫌いな人まで愛さなくちゃいけないんですかって、すごく素朴な疑問だよね。 でも、その答えも、同じように素朴なものなんだ。いいかい、世の中には自分の嫌いな人、イヤな人がいる。でも、そ...
言葉の力

愛情 その1

友情というのは友だちに対する愛情だ。友情は愛情の一つのありようだ。では、愛情というのは、誰に対する、どんなありようのことなのだろう。 もしも君が、犬や猫やハムスターや、自分のペットを飼っているなら、彼らに対する気持ち、あれが愛情の原点だ。大...