愛情 その2

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どうして自分の好きな人だけを愛しちゃいけないんですか、どうして嫌いな人まで愛さなくちゃいけないんですかって、すごく素朴な疑問だよね。

でも、その答えも、同じように素朴なものなんだ。
いいかい、世の中には自分の嫌いな人、イヤな人がいる。
でも、そういう人を嫌いだ、イヤだと思うその気持ちは、まさしくイヤなものじゃないか。
自分にとってイヤなものじゃないか。
自分にとってイヤなことはしないのが、自分を愛するということだ。
自分を愛する人は、自分を愛するからこそ、他人を嫌うということをしないんだ。
そうじゃないか?

嫌いな人、イヤな人は、ああ、そういう人なんだな、丸ごと認めて受け容れてあげるんだね。
むろん大変なことだよ。
でも、それが自分のためなんだ。
それができなければ、君が自分を本当に愛することはできない。
自分を愛していない人生を生きるというのは、とても苦しいものだ。
だって嫌な人からは離れればいいけど、誰が自分から離れることができるだろう。
嫌いな自分と四六時中一緒にいるなんてことが、苦しくないわけがないじゃないか。

『14歳からの哲学』池田晶子

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