若者たちは、自分なんてものにこだわりすぎるのである。
「自分の」好きとか、「自分の」人生とか、そんなものは何ものでもないと、一度腹を括ってみるといいのである。そうすれば、見えてくるものがある。
そうとしかできない自分も見えてくる。「個性」というのは本当はそういうもので、「自分」なんてものは一度死ななきゃダメなのである。
自分のやりたいことをやるというのは、自分のためにやるのではない。
自己精進に励む芸術家の仕事が、広く人々に喜びを与えることになるという事実が、端的にそのことを示している。やりたいことがわかるということの覚悟のわからない者に、やりたいことがわからないのは当然である。
『勝っても負けても』池田晶子
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