池田晶子

言葉の力

魂を味わう

人間は肉体であると同時に精神です。肉体は必ず年をとるものですが、精神は物理的時間とは違う時間を生きているので、ある意味で年をとるとも言えるし、全く年などとらないとも言える。精神がうまく年齢を重ねてゆくことができた場合、「成熟する」というふさ...
言葉の力

名を惜しむ

人を信頼できない人は、他でもない。その人自身が信頼できない人なのである。自分自身が信頼できない人間であることを知っているから、その人は他人も信頼できないのである。決して他人のせいではない。 自分を信頼できない人は、他人を信頼する仕方がわから...
言葉の力

道徳と倫理

外なる規範としての道徳は、常に、「べき」とか「せよ」とか、「ねばならぬ」等の規制や戒律の形を取る。したがって、それを行為する者には必ず強制や命令として感じられる。これに対して、内なる規範としての倫理は、たんに「そうしたい」という自ずからの欲...
言葉の力

金では手に入らないもの

人は、金によってよいものが手に入ることに慣れてくると、金それ自体をよいものと思うようになる。手段と目的とが同一になったのだね。 困ったことはだね、このとき人々は、よいものは金で手に入るものという考え方に慣れすぎていて、金では手に入らないよい...
言葉の力

本当のプライド

自分の人生は、自分の生きたいように生きればよい。他人にどう見られるかが、なぜ問題か。 問題は、自分に対する恥である。自分が自分に恥ずかしいと感じる、これが本当の恥である。 自分に恥じない、それを「プライド」と呼んでみる。他人に恥じるのではな...
言葉の力

当たり前なことにありがとう

この広い世界、果てしない宇宙の中で、誰かと誰かとが出会う、出会って愛し合うなんてことは、なんという偶然、なんというありがたいことなのでしょうか。 「ありがたい」とは、じつは「在り難い」という意味です。そのようなことが存在することが難しい、難...
言葉の力

自分だけでも善く生きる

私は考えるのです。私たちは、ひとりひとりは時代や社会のことなど気にする必要はない。人は、自分のことだけを思って生きればいい。ひどい時代、悪い社会の中だからこそ、自分だけは、私だけでも、善く生きよう、善い人間として、善い人生を全うしようと、そ...
言葉の力

本当に生きるということ(3)

「生きて思う」ということは、彼にも君にも誰にとっても共通している、ものすごく当たり前なことじゃないか。この世の中には、当たり前のことよりも不思議なことは存在しないんだ。君は、自分が生まれて、いろいろ思って、あれこれ生きて、そしてやがて死ぬと...
言葉の力

本当に生きるということ(2)

「本当にそう思う」ということと、「本当にそうである」ということとは、違うことだと覚えておこう。だって、間違ったことだって、自分がそう思っているのだから、「本当にそう思う」と思えるわけだ。でも、間違ったことを本当だと思ったって、間違ったことが...
言葉の力

本当に生きるということ(1)

人は、何でも、「思う」ことができる。これは本当に不思議なことだ。これが自由の原点だ。人生はつまらないものだと思えば、人生はつまらないものになり、人生は素晴らしいものだと思えば、人生は素晴らしいものになる。何もかも思った通りになる。人生は、自...