池田晶子

言葉の力

アンチエイジングの不可能

きょうび世を挙げて、年をとることを否定しようとしている。それが言うところの「アンチエイジング」ですね。若いことが価値であり、年をとることは反価値だ。しかし、冷静に考えて、こんな不可能で馬鹿げたことって、ちょっとないですよね。だって、生きてい...
言葉の力

人間を創るものは

言葉は人間を支配する力をもつから、それを言うその人を、必ずそんなふうにしてしまうものなんだ。面白いから、そう思って、まわりの人を観察してごらん。正しい言葉を話す人は正しい人だし、くだらない言葉を話す人はくだらない人だ。その人が話すその言葉に...
言葉の力

言葉がなければ現実はない

しょせんは言葉、現実じゃないよ、という言い方をする大人を、決して信用しちゃいけません。そういう人は、言葉よりも先に現実というものがある、そして、現実とは目に見えるもののことである、とただ思い込んで、言葉こそが現実を作っているという本当のこと...
言葉の力

魔法の杖

言葉は道具なんかではない。言葉は、自分そのものなのだ。 だからこそ、言葉は大事にしなければならないのだ。言葉を大事にするということが、自分を大事にするということなのだ。自分の語る一言一句が、自分の人格を、自分の人生を、確実に創っているのだと...
言葉の力

苦しみは喜びである

幸不幸とは、「境遇」とは別のことだ。 幸福とは、努力である。外的なあれこれによらなくても、いかなる境遇にあろうとも、それ自身で常に幸福であることができるための、魂の努力である。 ところで、努力とは、善くなるために為されるものであって、悪くな...
言葉の力

魂を味わう

人間は肉体であると同時に精神です。肉体は必ず年をとるものですが、精神は物理的時間とは違う時間を生きているので、ある意味で年をとるとも言えるし、全く年などとらないとも言える。精神がうまく年齢を重ねてゆくことができた場合、「成熟する」というふさ...
言葉の力

名を惜しむ

人を信頼できない人は、他でもない。その人自身が信頼できない人なのである。自分自身が信頼できない人間であることを知っているから、その人は他人も信頼できないのである。決して他人のせいではない。 自分を信頼できない人は、他人を信頼する仕方がわから...
言葉の力

道徳と倫理

外なる規範としての道徳は、常に、「べき」とか「せよ」とか、「ねばならぬ」等の規制や戒律の形を取る。したがって、それを行為する者には必ず強制や命令として感じられる。これに対して、内なる規範としての倫理は、たんに「そうしたい」という自ずからの欲...
言葉の力

金では手に入らないもの

人は、金によってよいものが手に入ることに慣れてくると、金それ自体をよいものと思うようになる。手段と目的とが同一になったのだね。 困ったことはだね、このとき人々は、よいものは金で手に入るものという考え方に慣れすぎていて、金では手に入らないよい...
言葉の力

本当のプライド

自分の人生は、自分の生きたいように生きればよい。他人にどう見られるかが、なぜ問題か。 問題は、自分に対する恥である。自分が自分に恥ずかしいと感じる、これが本当の恥である。 自分に恥じない、それを「プライド」と呼んでみる。他人に恥じるのではな...