『折れた場所に灯る』

2月1日発売開始(Amazonにて予約受付中)

『折れた場所に灯る』

ひとこと紹介: 「折れない」じゃなく、「折れた場所から戻る道」を描く物語。
テーマ: 折れた場所から、もう一日を選び直すこと。

『折れた場所に灯る』は、眠れない夜や、気持ちが折れた日に読んでほしい物語です。

あらすじ

放課後の駅前。タイムラインは「大丈夫」と「頑張れ」で満ちているのに、心だけが置き去りになる。
高校2年の芽衣(めい)は、未来の話が息を苦しくする日々の中で、くしゃっと折れたノートを開く。
そこに残っていたのは——「折れたところから、戻る道を作る」という走り書き。

翌日、校内スピーチコンテストのポスターが目に刺さる。
テーマは「わたしの中の、折れないもの」。
友人の紗耶のひと言をきっかけに、芽衣は“折れないふり”ではなく、
“折れても戻れる心”を、自分の言葉で探しはじめる。

こんな人に

・SNSの眩しさに疲れてしまった日
・「頑張れない自分」を責めてしまう日
・将来の話が苦しくて、息が浅くなる日
・折れたままでも、もう一日を選び直したい人へ

この物語のキーワード

・UNBREAKABLE SPIRIT(折れないことじゃない)
・折れたところから、戻る道を作る
・生き延びる/生きていく
・光と闇(見えない場所での小さな拍手)
・冗談という鎧、そして鎧の隙間

試し読み(冒頭)

放課後の駅前は、いつも同じ匂いがした。
揚げ物の油が空気の端に甘くまとわりつき、雨上がりのアスファルトはまだ湿ったまま、急ぐ人の焦りだけが先に乾いていく。改札へ吸い込まれていく背中は、急ぐほどに薄く、輪郭のない影に見えた。

芽衣(めい)はその流れの外側にいた。
人波の音に合わせて胸の奥が小さくざわめく。何かが欠けたまま、きしむように。

スマホを開く。指先が上へ上へと画面を滑らせる。
タイムラインは、誰かの「大丈夫」で満ちている。誰かの「頑張れ」で満ちている。言葉が増えるほど、芽衣の体温はどこかへ逃げた。救いのふりをした光は、眩しすぎる。

「今日も生き延びた」

そんな投稿が流れてきた。
いいねが増え、共感の言葉が枝分かれして増殖していく。芽衣はその一行の前で止まった。「生きる」ではなく「生き延びる」。その言い方だけが、妙に正直に思えた。

(中略)

机の上にはプリントの山。芽衣はその山の一番下から、くしゃっと折れたノートを引き抜いた。表紙には落書きと、乱暴に押し込まれた文字。

UNBREAKABLE SPIRIT

ノートを開くと、ほとんど白紙だった。数ページだけ、短い言葉が散らばっている。

「折れない心って、どこにある」
「折れたら、終わり?」
「終わりのあとって、なに?」

ページの端に、鉛筆で小さく走り書きがある。

折れたところから、戻る道を作る。

芽衣は喉の奥がきゅっと痛んだ。
こういう言葉を書ける自分が、かつていたのなら。
その自分は、どこへ行ってしまったのだろう。

【ここまで試し読み】

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